近頃よく聞く「UZR」
野球選手の守備を評価する指標ということは分かるけど、どういう計算方法なのか?
どれほどの信頼性があるのか?
簡単に説明したいと思います。
UZRって何の略?
UZRとは、Ultimate Zone Rating(アルティメット・ゾーン・レーティング)の略です。
ミッチェル・リクトマンという人が、2001年に提唱した指標で、現在では守備指標では最も信頼性の高い指標と言われています。
UZRの算出方法
考え方は、「同じポジションの他の選手より、どれだけ失点を防いだのか?」
を測る指標です。
ですので、センターでUZR+10とかだと、平均的なセンターの守備力と比べ、10失点分守備力で防いだ。ということになります。
しかし、どうやってその平均値と、結果を出しているのでしょうか?
UZRの記録は、”人間が”打球の映像を見て、
・どのゾーンに飛んだ打球か?
・どれくらいの速さの打球か?
・フライか?ゴロか?ライナーか?
などを記録したデータを元にしています。そしてそのデータを集め、まずは各6球団で平均値をゼロに調整します。
そしてその平均化したデータから、各選手がどれだけのアウトをとることが出来たか?
を算出します。
この結果をもとに、
平均的な守備力を持つ選手と比べて、どれだけのアウトをとることが出来たか?
を算出します。
そのため、リーグに守備の名手だらけならUZRの値をあげることは難しく(平均値が高いため)、逆に下手糞だらけなら自身が下手糞でもUZRは上がりやすくなります。
さて、ここでひとつ疑問が浮かびます。
たとえば、センターとライトの間らへんに落ちた打球は、センターとライトどちらに守備の機会があると判断されるのでしょうか?
例えばセンターが平均的に10%の確率でアウトに出来、ライトが15%の確率でアウトに出来、残りの75%がヒットであるような打球の場合を考えます。
そんな打球の場合に仮にセンターが打球を処理しアウトにした場合、
25%でアウトに出来る打球を100%にしたわけですから、0.75のプレー得点が与えられます。また、統計上外野へのヒットは失点を0.56点増やし、アウトにした場合は失点を0.27点減らします。
すなわち、0.56+0.27点で、0.83点得点を防いだことになります。
この0.83に先ほどのプレー得点0.75を掛けると、0.6255点が算出され、この0.6255点がUZRのプラスの得点となります。
2016年UZRが高かった選手
UZRは先ほどの算出方法から基本的に、
・守備範囲の広い選手
・肩の強い選手
・とってから投げるまでが速い選手
・エラーをあまりしない選手
に高く算出されます。まさに、守備力を測るためにもってこいの指標というわけです。
そんな中、2016年特にUZRが高かった5選手を紹介します。
1位 西川 遥輝 UZR+18.2
2位 菊池 涼介 UZR+17.3
3位 中島 卓也 UZR+15.9
4位 坂本 勇人 UZR+15.1
5位 安達 了一 UZR+14.8
ここらへんは当たり前ですが、足が速く名手が揃っていますね。
このメンツが上位にくる指標というだけでも、UZRの信頼性が高いことを証明していると思います。
これまではエラー数や印象でしか評価されなかった守備力について、今後はこういった指標で正確に評価されていきそうですね。